この建物は、彫刻家本田明二氏の遺族の方々からコンパクトな住居スペースと同氏の彫刻作品を展示するスペース、さらに地域に文化を発信するアトリエスペースの性格の異なる3つの機能を持った建築として依頼された。 父である彫刻家本田明二氏の作品展示を核にして、個人ベースで文化活動を展開し、地域の芸術文化活動として外部にも発信していきたいという遺族の方々の意気込みに大きな共感を覚えた。 計画にあたっては、3つのスペースのつながりや人の動きを慎重に考えた。そこにこの建物の大きなテーマがあるとも言える。 3つのスペースの構成は人の動線をいくつかに分けながらも全体として一体感の強い構成になっている。人の動きもそこここで交わり、姿や気配が伝わるように配慮した。それは、それぞれのスペースの機能は異なっていながらも、日常生活の中でギャラリーに人を招き、アトリエから外部への発信ということを無理なく活動できるようにと考えたからである。ここに暮らす生活シーンは、外部との接点が日常の中にあ たりまえに取り込まれたものになると直感した。 住宅としての佇まいでありながら町並みの中でその存在を少しだけ際だたせるべく、敷地に対して一部の壁を斜めに振っている。そしてコンクリートの肌と共に素朴で量感のある殻や器を表現したいと思った。 本田明ニ氏の厳しいののみあとの彫刻には建築のマッシブな重さのようなものがふさわしいと考えた。
(設計者 板津 博之)
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